« 2009年12月 | メイン | 2010年04月 »

2010年03月25日

沖縄クライミング旅行記2010

 今年もまた、3月18日から23日まで、第6回勝山シークヮーサー花香り祭に合わせて沖縄でクライミングを楽しんできました。これはその旅行記です。

 ビデオ作品「ちむどんどん勝山2010」のオープニング映像はこちら

3月18日 那覇
 羽田から3時間弱で那覇に到着。機外へ出ると、生温い空気に包まれた。
 SBさん、SNさんは先に到着されており、Fさん夫妻と私がここで合流し、全員集合。ホテルへ向かうために、バンのタクシーに乗った。
 「那覇ウエストインまでお願いします。」
 「???」
 タクシーの運転手さんはわかりかねて、もう1台のタクシーの運転手さんにホテルの場所を聞いた。

 「まあ、行ってみましょう。」 

 それらしき所に着いたけれど、ホテルは見当たらない。運転手さんは、直接、ホテルに電話をして場所を聞いた。ゆるゆると車を動かし、「ファミリーマートの前って、言っていたけど‥。」

 「あっ、有りました。」

 看板が光っているわけではないので、わかりづらい。
 中に入ってみると、ウィークリィ・マンションの作りだ。内装はきれいで、安いし、全然OK。最近はこんなホテルもあるんだなぁ。めでたし、めでたし。

 さて、夕食を終えると・・・。行かなければいけないでしょう、沖縄民謡酒場。
 大城美佐子さんの店に入ると、ご本人がいらした(毎週木曜日にはいらっしゃるようだ)。この店に入るのは3回目だが、初めてお会いした。

 そうこうする内に、大城さんが二升五合の大瓶を抱えている。二升五合の意味は、升升半升(益々繁盛)とのことだ。

 「飲む?」
 もちろん、首を縦に振ると、グラスに注いでくれた。ふわっと、香りが漂う。まろやかな味だ。

 FSさんが間髪入れずに説明してくれた。
 「これが波照間島の泡波。誰でも手に入れることができるわけではない幻の泡盛です。」

 「へぇ~」と心でひれ伏しながら、両手でグラスを持ち、ちびりちびりといただいた。今回の沖縄ツアーも面白いことがありそうだ。

ホテルの部屋美味・・・豆腐の上に魚二升五合の泡波


3月19日 座津武
 すがすがしい朝だ。 他のホテルに宿泊されていたOKさんをピックアップして、那覇を8時半頃出発。一路北へ向かう。
 名護市を過ぎて、西の海岸沿いをさらに北へ向かう。陽光に珊瑚が輝き、海のブルーの変化が眩しい。
 美しい海岸、そして、美しい海なのに、泳いでいる人は一人もいないし、漁船を一隻も見かけない。そして、車窓から眺める風景はどこかしら五能線沿いに似ている。

 トンネルを過ぎたところで車を左のスペースに止め、ハーネスを装着し、クライミングの準備に入る。走っている他の車の人たちから見れば、私たちは何をやっているのだと思うだろう。

 まず、海に突き出したフェースを1ピッチ登り、反対側に2ピッチを懸垂下降して基部に降り立つ。
 海がおだやかだ。昨年の残波の激しい波に比べて、なんと穏やかな波だろうと思っていたのだが、後で地元の方に聞くと、北風が吹くと、ここの座津武の方が激しく波に洗われるそうだ。そういう意味で、今日は恵まれていた。

 洞窟を中心として、その左右にいくつかのルートがあり、トライしたが、体の振りが出来ておらず敗退。ま、最初はこんなものかな。
 帰りはチムニーを登って行かなければいけないのだが、完全にスタックして、手足が傷だらけとなってしまった。あーあ。

座津武の岩場の取り付き海岸から1ピッチ登るSNさんルーフをオンサイトするSBさん

 本日の宿。民宿ヤンバルクイナ荘に向かう。囲炉裏の食堂があり、そこで地元の食材を生かした料理を味わった。上弦の月がふわふわと浮かんでいた。

登り返しのチムニー民宿ヤンバルクイナ荘の囲炉裏民宿ヤンバルクイナ荘の夕食


3月20日 勝山 (1階)

「地獄の釜のふた」という名前?鯉に睡蓮?シークヮーサーの花

 重いものを持ったわけでもないのに、10日ほど前から腰が痛み出していた。そして、昨日のクライミングでその痛みが増していたところだった。この話をSBさんにすると、同じような経験をされており、「腰痛体操が効くよ」というので教えていただいた。

 すると、あら不思議。痛みが消えていくではありませんか。
 シェーシェー、カムサムニダー、コープクンクラップ、グラッツエ、ダンケシェーン、サンキュー・・・。あらゆる言葉を使って感謝しても感謝しきれないぐらい嬉しかった。SBさん、本当にありがとうございました。

 今日から第6回勝山シークヮーサー花香り祭が開催する。会場へ着くと、地元の関係者の皆さんに挨拶をしてから、勝山の岩場に向かった。今日行くところは、我謝汝姑ばんた(通称:ロストワールド)エリアという正式名称があるが、地元の方は「1階」だとおっしゃっていた。ということは「2階」、「3階」があるわけで、難しい名前を呼ぶよりもその方がわかりやすい。
 ここには、竪穴の中を登っていくという珍しいルートもある。ひと通り登り、そして、撮影して、本日のクライミングは終了。

竪穴ルートの下部を登るOKさん竪穴ルートの中を登るSNさんルーフをスウィープするFTさん

 陽が落ちて本日の祭のイベントも終了。公民館の前のテーブルに三々五々集まると、自然とクライミングのノウハウ講習になっていた。沖縄山岳会の方は本当に真面目で熱心である。FSさんのサンバのリズムに合わせたステップを皆で同時に練習する。それは傍から見れば、マイケル・ジャクソンのスリラーを踊っているようなものだ。

 うーん、勝山は熱い!!!

マイケル・ジャクソンのスリラー?


3月21日 勝山 (2階)
 深夜から未明にかけて、雨になり、強い風が吹いた。雲が切れて、お天道様が上がり始めると、風も収まってきた。強い風のおかげで、濡れた岩も乾いてしまった。今日もクライミング日和だ。

 勝山(2階)に行く。昨年はここに逃げ出したヒージャー(ヤギ)がいたが、今年はいない。誰かが捕まえて食べてしまったのかも・・・。

 ところどころに岩場に草が生えている。Bさんがドイツに引っ越してしまったので、コマめに岩場の草取り(Bさんはガーデニングと呼んでいた)をする人がいなくなってしまった。私たちはルートを登って降りてくるときに、Bさんがしていたようにガーデニングをした。

 FTさんはそれでもあきたらず、刈り込みハサミで周りの木やつたを落とし始めた。やはり、南国だ。暖かくて雨が多いので、木の繁殖もすごい。FTさんがクライミングをしているときは美しく華麗に登ってしまうので、掛け声など聞いたことはないが、ここの木やつたを落としているときは、「エイ、ヤー」とかの掛け声がかかる。おかげさまで、岩場にかぶさっていた木もなくなり、岩場が明るくなった。ご苦労様でした。

アウトサイド・フラッギングを
決めるFTさん
クラックをオンサイトするSBさんクラックを登るSNさん

 クライミングを少し早目に切り上げて、ヒージャーオーラセー(闘ヤギ)を見に会場の方へ向かった。ヤギが尻尾を振っている間は戦う気迫十分。尻尾を振らなくなると戦意喪失で闘いを止めるそうだ。
 今年のヒージャー抽選会も、一等賞はヒージャーだ。二等、三等の他、たくさんの景品もあるけれども、皆さんのお目当てはなんといってもこのヒージャーだ。

 その後、空手演武が行われた。4歳の子から元世界チャンピオンまで、皆さんすさまじい迫力と演武だ。常に世界の頂点を目指し、そして、そこに立ってきた実績は誰が見てもわかる。すごい。

空手演武空手演武結婚披露宴を行った勝山区長

 祭が終わって、公民館の中では打ち上げと勝山区長の結婚披露宴の2次会が行われた。大正琴の合奏あり、踊りあり、歌ありで大いに盛り上がったのであった。

大正琴の演奏沖縄山岳会のメンバーによる歌やはり、この方しかいないでしょう。
独唱するFSさん


3月22日 勝山 (3階)
 朝起きても、昨日の祭の余韻が残る中、後片付けを行った。

 そして、今日は勝山(3階)に赴いた。ここは少し岩がもろい。しかし、勝山で唯一のコルネ登りもできるし、楽しいエリアだ。

 一方、私は毎日続くクライミングに体が少々バテ気味なのだが、それ以上に毎日続く酒盛りに胃腸の方もバテ気味なのであった。昔、こういうことを「内憂外患」と言ったんじゃなかったっけ? えっ、意味が違う? すみません。

 今日はFTさんによるクライミング教室が行われた。細かい手足の動き、バランス、目線の位置などの説明を聞くと、「なるほど、なるほど」とうなづくばかり。
 ところが、それを自分が実践に移そうとすると、頭がパニックになって体が動かないのである。
 「えっーと、次はどうするんだったっけ?」

 「目が足先を追ってない!」 「腕が曲がっている!」 「膝を伸ばして、お尻をあげて!」

 ますます頭の回路がパニックになっていくのであった。

 クライミングの基本はそれ自体が難しいのではなくて、頭で描いていることを実践することが難しいのだろう。そのためには一にも二にも三にもクライミングを経験するしかないんだなあとつくづくと感じた。

 
 さて、この3日間、「1階」、「2階」、「3階」と登ってきた。この勝山にはこの先に「4階」という岩場はない。私はこれで明日の「4階」のクライミングはない、とほっとしていたところ、SNさんから

 「それは5階(誤解)です。」

と言われてしまった。

 かつやま~~~! 奥が深すぎる~~~!

投稿者 sue_originalcv : 10:08 | コメント (2) | トラックバック