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2010年12月06日

スコーミッシュ旅行記2010

 9月3日から18日まで、カナダに行って来ました。Squamishを中心に、Cheakamus Canyon、Sully's Hungout、Horne Lakeでも登りました。今回のクライミングでお世話になりました皆さんに改めて御礼申し上げます。

9月3日 バンクーバー
 午後1時過ぎ、マンションを出発。炎天下の中、重い荷物を背負って、上大岡駅までの山越えが核心だった。
 上大岡駅から横浜駅まで京急で、YCATからはバスで成田空港へ。空港では、無事に参加メンバーのFさんご夫妻、Kさん、そして、私の4人が集合。
 Air Canada 004便は777-300タイプの機種だったが、エコノミーでも座席が横に3人ー3人ー3人掛けで、少しゆとりが感じられた。そして、8時間でバンクーバーへ到着。

 レンタカーを調達して、いざスコーミッシュへ。ところが「喉が乾いた、お腹が空いた」と後部座席から声がかかり、途中でフリーウェイを降りて、街中のピザ・レストランに入った。メニューを眺めていると、下から3番目にPrimavera pizzaと書いてあり、これのラージサイズを注文した。Primaveraはイタリア語で「春」を意味する。たくさんの野菜が散りばめられたピザを食べて、幸先良いスタートである。

 そして、スコーミッシュのBさん宅へ到着。いっぱいのお土産を広げて、1年ぶりの会合を喜びあった。

"Primavera" ピザスコーミッシュのメインの壁 The Chief スコーミッシュの夕暮れ

9月4日 Neat and Cool, Mosquite Area
 曇り、時々、晴れ。風がやや強い。
 Jさんはいつものように、美味しいカプチーノを時間をかけて作ってくれた。ゆったりとした流れの中で朝食を済ませ、外に出た。

 ここから、Neat and Cool の岩場まで50m足らず。ゆっくりと岩場に向かって歩いていると、RさんとDさんが、家の玄関先から「今年もよく来たね」と手を振って喜んでくれた。
 まず、易しいところからスタートする。Cat Crack .6, The Jigsaw Flow .9, Sally Five Fingers .8, Stumps .8

 ここでCさんがやって来た。いつもの笑顔だ。場所をMosquite Areaに移動した。Mosquite .8を登った後、SM's Delight 10bに取り付いた。クラックの効く方向で登っていくと、レイバックになってしまい、スタンスの薄い垂直の部分が越えられない。クラックがY字のボトムになっているところまで手首を突っ込んで抑えて、体の反転を止めた。Sさんに話を伺うと、ハンドジャムが効くようなら、レイバックをしないで、登った方がよいとのことだ。勉強になりました。

9月5日 Burgers and Fries
 曇り、時々、晴れ。
 朝方、少し冷えた。曇り空で風が少し吹くと、ウィンドブレーカーが必要だが、お天道様が出てくると、Tシャツで十分だ。

 さて、今日のエリアはBurgers and Fries。お世話になっているBさんの家の庭を出ると、そこが岩場の終了点である。それを使って懸垂下降する。ここは易しいルートが多いので、ビギナークライマーがたくさんやって来る。

 まず、Bilbo Baggins .9に取り付いた。ハンドジャムとフットジャムの練習には良いルートだ。クラックの基本の練習だと思って3回登ったが、下手なフットジャムのために足が痛くなってしまった。
 次に、High Boltage Line 10a, French Leave 10bのスラブルートに取り付いた。細かいホールドとスタンスを使って登る。小川山の感じに似ている。
 最後に、Burgers and Friesのメインエリアに移動してDusty Eyes 4とCatch Me Quick 10bを登った。易しいルートをたくさん登ることで、少しクラッククライミングに慣れて来たようだ。

9月6日 Cheakamus Canyon
 曇り、時々、雨。あいにくの雨で、今日はレスト日になるのかと思いきや、Jさん達は雨でも登れるエリアに行くと言う。私達も便乗することにした。

 Squamishから北に20kmほど行き、右に折れて急坂を上ったところが、Cheakamus Canyonのエリアの駐車場だ。そこから谷沿いに歩いて5分程度でThe Circusの岩場に到着。ボルトの打っているスポーツクライミング・エリアだ。すでに、10人程度のクライマーが登っている。

 まず、Pig Farm 5.10aに取り付いたが、思いのほか悪い。窮屈なレイバックで切り抜けた。ここの岩質は花崗岩だが、ブロック状になっており、ホールドの効かせる方向がわかりづらい。故に、ルート・ファインディングが難しい。Kigijushi 5.10cはその典型的なもので、私は完全にはまった。
 その後、Boy Pie 5.8, Dark Don't Lie 5.11a, Light My Way 5.10dを登り、終了。久々にスポーツ・クライミングを楽しんだ。

Mosquite Area, A New Route .11aを登るCさんThe Circus, Cut The Chase .12cを登るJさんThe Circus, Light My Way .10dを登るTさん


9月7日 レスト日
 小雨、時々、曇り。
 朝方、雲の中に晴れ間も見えており、クライミング出来るかと思いきや、パラパラと雨が降って来た。
 クライミングは3日間続いているし、今日辺りはレスト日でもいいかな‥。
 周りの岩場を眺めると、小雨の中でもレインジャケットを着て、気合いを入れて、登っているグループもある。Sさんは登りに行きたそうだったが、他の3人の合意でWhistlerへドライブに行くことに決定。

 Whistlerに行く途中にBrandywine Fallsに立ち寄った。私はここで浴びるほど、ブランデーやワインが飲めると思っていたが・・・。

9月8日 The Chief
 晴れ、時々、曇り。
 すがすがしい朝だ。青空が広がり、スコーミッシュに朝陽が射してきた。

 Kさんにとってはあっという間の1週間で、明日、日本に帰国する。その前に、スコーミッシュの看板の壁であるThe Chiefを登っていただかないといけない。その基部からから始まるArrowroot .10bに取り付いた。

 その後、ノース・バンクーバーにあるCさんの家へ移動した。

Brandywine FallsThe Chief, Arrowroot .10bを登るKさん夕方現れた虹

9月9日 Sully's Hungout
 朝起きて、Deep Coveの美味しい店に入って、ブレックファーストメニューにあるサンドイッチを選んだ。デリシャス!
 その後、クライミングショップで、アークトリクスのハーネスをゲット。

 Kさんを空港まで送り、Cさんの近くのSully's Hungoutというエリアに出かけた。
 Cさんは20分で着くと言ったけれど、それは彼女の歩くスピードという条件付き。息を切らして、岩場に着いた。
 森に囲まれて、少し苔で緑がかった壁だ。登ってみると、ホールドもスタンスもしっかりとフリクションの効く有笠山のような岩質だ。
 Speed Dial 5.11a, My One Muscle 5.11a, Special K 5.11aを登った。

 本日の夕食はCさんのスペシャルの鮭料理。とっても美味しい。しかし、レシピがあるわけではなく、味は毎回クリエイトして作るそうだ。

いつも混んでいる人気の店蜂も寄ってくるサンドイッチSully's Hungout, Special K .11aを登るTさん

9月10日 Horne Lake
 Tさんの目覚まし時計の音で、目が覚めた。バタバタとパッキングをして、7時30分にCさんの家を出発。
 バンクーバー島行きのフェリー乗り場に向かった。ゲートに並んで車ごと乗船。日本のように、1台1台車を固定するようなこともない。8時30分に汽笛を鳴らして離岸した。
 どんよりとした天気の中、船首で受ける風は冷たかった。

 1時間半後、バンクーバー島のNanaimoへ上陸。そのまま、Horn Lakeへ向かった。
 フリーウェイを左へ曲がると、途中からダートの道に変わった。上部に岩壁が見えだしたところで、右の細い道に入る。そこに駐車用の空き地があった。

 30分弱、険しい山道を登ると、岩場へ到着。どっかぶりの石灰岩だ。
 You Enjoy Myself 5.11aはガバガバで快適なウォームアップ・ルート。新しい5.11aと5.11cのルートを登った後、Quater Century Girl 5.12aに取り付いた。このルートはまず大きなコルネを登り、そして、小さなコルネの下を右上する楽しいルート。タイのプラナンを思い出す。Tさんはこのルートを見事にオンサイトした。パチパチパチ!

バンクーバー島行きのフェリーYou Enjoy Myself .11aを登るTさんQuater Century Girl .12aを登るSさん

9月11日 Horne Lake
 昨夜はNanaimoまで戻って、安いモーテルに泊まった。

 朝方は薄日が射す曇り。雨の予報が良い方向に外れて、今日もクライミング日和になりそうだ。岩場までの急傾斜の登りは厳しいが、昨日ほど辛くはなかった。岩場に着くと、すでに20人ほどのクライマーがいた。今日は土曜日なのだ。

 ウォームアップをした後、昨日トライしたQuater Century Girl 5.12aを再チャレンジ。Sさんは見事にRP。
 その後、ツルツルの溝を登るMateo Spout 5.11cに取り付いたがまったく歯が立たなかった。
 天気が崩れて来て、Namaimoからフェリーに乗って、バンクーバーに着く頃には本格的な雨になっていた。

9月12日 レスト
 ノース・バンクーバーのCさんの家で起きると、外はシトシトと雨が続いていた。Deep Coveの例のマフィンの美味しい店で朝食をとった後、Cさんの家で石鹸作り。

 その後、Cさんの指導によるヨガ。
 「エネルギーを内に貯めて‥」と始まったが、初心者向けを通り越して中級者向けに入るような内容。結構、体に応えた。

 夕方、Cさんの家を出て、この春に日本でお会いしたスコーミッシュのPさんの家に向かった。もう暗くなっていたので、番地の確認に戸惑ったが、Pさん自ら家の外で出迎えていただき、やっとで到着。一昨日から続いた雨は上がり始めていた。

9月13日 Penny Lane
 雨が上がって、すがすがしい朝だ。2日間降り続いた雨でThe Chiefの大岩壁は濡れていた。
 PさんがThe Chiefの白くなっている部分を指して、「Dancing Bearだ」と語ってくれた。そう思って見ると、本当にDancing Bearのように見えてしまう。また、ある人は魔法使いのように見えるともいっていた。

 青空の下、Penny Lane 5.9に取り付いた。きれいなクラック・ラインだが、ムーブが色々とあって、私にとっては難しい。
 その後、トップロープにして、Crime Century 11cをトライしたが、まったく歯が立たなかった。
 次に、Climb Punish 10bをトライ。核心の一手が遠く、難しい。

 体が萎えてしまったところで、Health Hazard 10aをリードで取り付いた。昨年はトップロープで登っていたので、スポーツ・クライミング・ルートと思っていたが‥。2本目のボルトにクリップしたところで、動けなくなってしまった。そのまま、テンションをかけて降りて、もう一度、ギア1セットを持ってトライ。眠気が吹っ飛んだ。

 7時半を過ぎて遅くPさんの家に戻ると、Tさんが心配してドアの外で待ってくれていた。すみません、ご心配をおかけして。
 Tさんは巻き寿司など日本食を作っていた。ありがとうございました。

Climb Punish .10dを登るSさんPenny Lane .9を登るTさんTさんのハンドメイドの寿司

9月14日 Octopus Garden
 Smoke Bluffsの上部に、良いクラックエリアがありそうなので、行ってみることにした。
 20分弱歩くと、森の中に、忽然と岩場が見えて来た。ここがOctopus Gardenだ。

 まず、このエリアの看板ルートであるOctopus Garden .8に取り付いた。ハンドジャムとフットジャムの練習に良いルートだった。
 次に、Pipe Dream .8を登ったが、こちらはヒール アンド トゥーがばっちりと効いた。このルートを登れないというバンクーバー在住の韓国人カップルが居合わせたので、Sさんがこのテクニックを教授。このカップルは昨年も私達を見たと言い、来年もまた会いましょう、と言って帰って行った。

 そして最後に、Unearthly Delights .9とElectric Balls 11bを登って終了。
 当初、明日はAngel Crestを登ろう、と言っていたのだが、体全体が疲れ果てて、明日は様子を見ようということになった。

9月15日 レスト
 朝、起きると、サーッと雨が降って来た。全員一致で、今日をレスト日にすることに決定。
 昼頃から、バンクーバーのマウンテン・ショップに出かけた。このショップの屋上に駐車場があるので、ここに止めて、1時間1.5ドルのチケットを買った。

 ショッピングを終えて戻って来ると、赤紙がバンパーに挟まれていた。確かにショッピングに2時間ほどかかってしまったので、時間超過してしまったのだ。超過料金を数ドル払えばいいと、たかをくくっていたのが大間違い。なんと69ドルの罰金。そして、腹が立つことに、1週間以内に払えば、34ドルにディスカウントするというこの書き方だ。

 Jさんに聞くと、バンクーバーは駐車に対して非常に厳しいとのことだ。あーあ。業に入れば業に従わなければ‥。高い授業料となった。

9月16日 Murrin
 青空が見えて来て、今日はクライミング日和になりそうだ。まだ、行っていないMurrinエリアに向かった。
 駐車場を降りると、すぐにThe Bog Wallがあり、簡単そうなクラックがあるので、すぐに取り付いた。
 Up From The Bog .8, Black Butterly .9
 どちらも自分でプロテクションを取りながらリードをすると、トップロープで登る場合に比べて倍以上の力が入ってしまう。易しいところをたくさんリードして、経験を積みたい。

 Browning Lakeの横を通って、Petrifying Wallに向かった。
 このエリアに入ると、垂壁の高さに圧倒されてしまった。まず、いきなりNo Name Road 11bに取り付いたが、70mロープを使ってもぎりぎりでしか降りて来れない。下部のランプ部分はもう1本のロープが必要だ。ランプ部分にボルトはないが、結構しょっぱい。Sさんはワイヤーナッツを数個かませてランプ部分をクリア。
 そして、ボルトのあるラインに入った。花崗岩特有のカチがずっと続き、なかなかレスト出来ない。核心を越えて、やっとでガバだ。まだルートは3分の1以上残っている。
 そして、最後にハング越えだが、ガバは非常に遠い。リーチのない人は左からマントリングで越えて行くしかない。終了点まで着いて降りて来ると、10分ぐらいは動きたくなかった。でも、このエリアを代表する素晴らしい入門ルートであることに変わりはない。

Octopus Garden .8を登るTさんUp From The Bog .8を登るTさんNo Name Road .11bを登るSさん

9月17日 Penny Lane, Ronin's Corner
 晴れ。今日はこちらへやって来て、一番暖かい日だ。
 まず、Penny Laneのエリアへ向かうが、少しの上りでも足を挙げるのが億劫だ。やはり、疲れが溜まっている。
 Sさんは「クラックにウォーミングアップなんてない」と言って、いきなりPartners In Climb 11aに取り付いた。核心は両手が左に効くホールドの体勢で、両足をフットジャムを効かせながら登る。Tさんは「5年ぶりにこのルートに取り付いた」と言いながら、簡単に登ってしまった。さすがだ。

 次に隣のRonin's Cornerエリアへ移動。
 MCM .6, Magical Child .8を登った後、Elephantiasis 10cを登った。斜めに走るきれいなクラックラインだが、下部は濡れており、上部は痛いほどハンドジャムとフットジャムが効く。私はここで無理をし過ぎて、左の首の付け根を痛めてしまった。もちろん、この2週間余りのクライミングの疲労も溜まっていたのかもしれない。無理をしないことに決めた。

9月18日 Penny Lane
 昨夜はPさん、Tさんも集まって、Farewell partyを催していただいた。料理は天ぷら、肉じゃが、豚の角煮などの日本食を作った。
 というわけで、雨が降っていた朝はのんびりとして、荷物のまとめや、部屋の掃除などを行い、午後2時ぐらいから、Penny Laneに向かった。
 私は昨日の首痛でレスト。SさんとTさんはPenny Lane .9を登ってクラックの状態を確かめた後、Partners In Climb 11aを再トライ。Sさんは見事にRP。今回最後のクライミングを有終の美で締めくくった。パチパチパチ!

 今回もまた、スコーミッシュやその近辺の岩場でお会いし、お世話になった皆様に心より御礼申し上げます。

Elephantiasis .10cを登るSさんPartners In Climb .11aを登るSさんThe Chiefの壁の白い部分はダンシング・ベアのようにも、魔法使いのようにも見える(真ん中の白い部分は脚色している)

投稿者 sue_originalcv : 05:41 | トラックバック