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2010年06月19日

韓国・ソヌンサン(禅雲山)クライミング旅行記2010

 今年もまた、6月7日から6月11日まで、韓国・ソヌンサン(禅雲山)へ行ってきました。これはその旅行記です。
 ビデオ作品「すぺしゃる・めにゅ2010 ~韓国・禅雲山~」のオープニング映像はこちら

 この旅行の模様は「FTGクライミング」のブログにも掲載されています。

6月7日 ソヌンサ
 朝の京急は混むので、5時20分上大岡発の快特で羽田空港へ。
 昨日、秋田から戻って来たばかりのFSさんは本日も好調。ゲートの前の待合室で、朝7時のビールを二人一緒にぐっと飲み干した。プッハー! 本日も頑張りましょう。

 金浦空港へ降り立つとむっとした空気。6月の韓国は暑い。
 6人なので、バスターミナルまでワゴンタクシーを使った。昨年は気にしなかったのだが、このバスターミナルは京釜線ターミナルと湖南線ターミナルのふたつに分かれている。ゴーチャン行きは湖南線ターミナルから出ているが、私は間違って京釜線ターミナルの方へ入ってしまった。道路を渡って湖南線ターミナルの方へ戻り、ゴーチャン行きのバスチケットを買った。

 高速バスに乗り込み、ゴーチャンへ向けて出発。高速道路で片側4車線の場合、一番左端のブルーラインのレーンが高速バス専用になっている。高速バスは速い、速い。他のレーンが渋滞していても高速バスだけはスムーズに進む。

 途中、サービスエリアで15分程度のトイレ休憩がある。ここであつあつのホドガジャ(くるみ入りあんまん)を食べるのが定番。韓国にはキムチと焼肉だけしかないと思っていたら大間違い。まだ見知らぬ美味しいものはいっぱいあるはず。何事もトライしてみることが重要なのだ。

 ゴーチャンで高速バスを降り、ソヌンサ行きのローカルバスへと乗り継いだ。ソヌンサのバス停付近の景色は何かしら懐かしい。
 クライマーご用達の店に顔を出すとおじさんはいたが、おばさんはいなかった。昨年撮った映像から静止画を切り出し、オリジナルTシャツを作ったので、それをお土産として渡す。

 ドンベクホテルでチェックイン。私がハングルで書いた予約のFAXが届いており、無事に部屋をキープ出来た。自分のハングルも結構いけるんでねえけえ。

 夕食はクライマーご用達の店で、ソヌンサ名物のうなぎを食べた。名物というからには一度は食べてみなくては・・・。おじさんの料理が悪いわけではないが、おばさんがいないのがやはり寂しい。

 近くの雑貨店で2次会用のソジュを買った。部屋に戻り、ドアを開けていると、このホテルに泊まっている女子高生2―3人が覗き込んでいた。いい加減な会話をしていると、いきなり女子高生たちは部屋にずかずかと入って来てベッドに座るし、携帯で友達を呼ぼうとしている。オイオイオイオイ。
 そこに、Aさんが入って来て、さっさと女子高生を追い払ってくれた。ヤレヤレ。

 これからどうなりますやら。

ゴーチャン行きの高速バスクライマーご用達の食堂の前ドンベクホテル


6月8日 トゥグ岩
 昨夜、高校生が遅くまで、歩き回り、走り回り、ドアを叩きまわってうるさかった。とはいえ、眠っていないわけではないが、昨日の2次会の最後がどうなったのか、覚えていない。安い酒で悪酔いしたようだ。

 ま、しかし、朝はすがすがしく、靄の中に浮かぶ山並とライトブルーの空が、今日のクライミングが楽しくなることを予感させた。

 ソヌンサのゲートで拝観料W2500を払って通過。しかし、ソヌンサに拝観しないので、川の右岸を通る道を選ぶ。一汗かいて、トゥグ岩の17区域に到着。昨日のお酒が一気に抜けた。

耳と尻尾の先をピンクに染めた子犬ソヌンサ(禅雲寺)のゲートにある門クライミングに体を慣らすMさん

 古いトポでは、トゥグ岩17区域のルートは4本ほどしか紹介されていないが、今はいっぱいある。
 まず取り付いた5.10aのルートに、はまった。こりゃ5.10aじゃないよ、まったく。Yさんによると、昨年も同じようなことを言っていたらしい。はて、まったく記憶にございません。

 ビデオ撮影するべく、このルートの終了点にぶら下がっていると、まばゆいばかりの緑の奥山が見えた。微風が肌に心地よい。しかし、ときどき、姿は見えないが、ゴー、ゴーと戦闘機の音が山にこだまする。このとき、北朝鮮との緊張関係はどうなっているのだろうか、と現実に戻るのだ。

 5本ほど登って、本日のクライミングは終了。

 ホテルの方へ戻って来ると、クライマーご用達の店のおばさんがお土産に渡したオリジナルTシャツを着て待ってくれていた。うれしいじゃないですか。
 握手をし、抱き合って再会を喜んだ後、おばさんから一言。
 「今日はうちの店に来るよね。」

 ここら辺りの食堂はほとんどソヌンサ(禅雲寺)に参拝に来る観光客用の店。特にうなぎが有名なので、どこの食堂に入ってもうなぎ専門店なのだ。だから、カルビ焼肉や海産鍋を注文してもおいそれとは出て来ない。
 そこで、「メニューにはないけど、焼肉をスペシャルに作ってくれないだろうか」とおばさんに頼むと、「明日、サムギョプサル(豚三枚肉)をしよう」ということに決まった。
 で、「今日の料理は?」と言うと、石焼ビビンバにパチョン。パチョンと言えば、ドンドンシュ(どぶろく)だ。ドンドンシュのビンの底に粕が溜まっているので、振ろうとすると「そうでない」という。おばさんにしか出来ないドンドンシュ・ダンスでビンをシェイクした。ひとつひとつの儀式が大変。ハハーッ、とんでもないことでございます。

難しい5.10aを登るAさん道の端から参拝者を見守る美しい仏像ドンドンシュ・ダンスを披露するおばさん


6月9日 ソクサル岩
 昨夜、恐れていた高校生の喧噪は無かった。他の宿泊客が引率の先生に苦情を申し立てたのかもしれない。静かに眠れるということはありがたいことである。

 さて、本日も真っ青な空が広がる良い天気だ。蓮の花が咲く池の木道を通って、クライミングに向かう。

 ソクサル岩に到着。本日も貸し切り状態だ。
 まず、ベッカム3 5.10bに取り付くが1本目のクリップが悪い。落ちるのではないかという皆さんの不安を一身に浴びながら、ようやくクリップ。フー。
 人気のセネギ 5.11bに取り付いた。うすかぶりで長い。最後がテクニックのいる核心だ。私はここであっけなくフォール。まだまだです。

ゲートに向かう木道を歩くベッカム3 5.10bを登るYさんセネギ 5.11bを登るFTさん

 降りて来てシャワーを浴びた後、クライマーご用達の店に行くと、おばさんが怒っていた。
 「6時に来ると言ったのに、もう6時40分。7時に近いじゃないか。」
 私は6時半と言ったつもりだったが‥。
 でも、怒るのも無理はない。昨日、「この店のメニューにない焼肉を食べたい」と言ったので、おばさんは山ほどの肉を買い出し、たらい一杯の野菜を準備して待っていたのだ。すみません。

 さて、食べ始めると、おばさんがそうじゃないと、じきじきにご指導が入った。サンチュ、春菊、何だかわからない野菜をいっぱい手のひらに載せ、それから、サムギョプサルと焼いたニンニクを載せ、テンジャンを加えて、野菜でくるりと巻く。この状態でおにぎりほどの大きさになっているのだが、それを豪快に口に放り込む。うーん。こんなの他の店じゃ有り得ない。
 おばさんの「どうだ、これがサムギョプサルだー!」みたいな勝ち誇った笑みが見える。必死でサムギョプサルを焼き、それを必死で野菜にくるんで食べ、怒濤の1時間が過ぎた。

 キャスターのテーブルの上を見ると、もう一山の豚肩ロース肉が残っている。おばさんに「これ、明日、食べますので‥」と言うと、「うん」と頷いてくれた。
 おばさんの好意が痛いほどよくわかる一日であった。

JJC 5.11aを登るFSさん直径1mのたらいに積まれた野菜サムギョプサルなどを野菜で巻いて口に放り込む


6月10日 ムン岩
 本日のホテルの朝食に、やっとでベッパンが出てきた。このふっくらとした出汁入り卵がたまらないのだ。昨日まで、高校生たちが滞在していたので、厨房もてんてこ舞いだったが、今日のお客は私たちだけ。ベッパンを作る余裕が出来たわけだ。

 さて、本日はソクサル岩の手前のムン岩へ向かう。クライミング3日目なので、疲れて登れないかと思いきや、皆さん、体が反応してスムーズに登っている。Mさん、Aさん、Yさんもリードをビシバシと決めた。素晴らしい。やはり、クライミングは登れなければ楽しくない。

 その後、ソクサル岩の96女子予選 5.12aに触って終了。自分にとっては昨年よりも体が動いていたので楽しかった。めでたし、めでたし。

 シャワーを浴びてすきっとした後、クライマーご用達の店に向かう。
 「えっ、今日もサムギョプサル? あれ、昨日の豚肩ロース肉はどこへ行ったの?」とは思ったものの、おばさんに質問すれば長くなりそうなので、「OK,OK.」
 ただ、FSさんと席を代わっていただいた。通路側にいると、おばさんから食べ方のご指導が入るので、ゆっくりと味わって食べていられないのだ。すみません。本日はサムギョプサルを堪能しました。

 帰り際、「明日の朝食も必ず食べに来い」と言う。8時20分のバスに乗るので、ここに7時30分に来ることを約束してホテルへ戻った。

ベッパンムン岩をリードするYさんムン岩をリードするMさん
ムン岩をリードするAさんJJC 5.11aの核心を突破するFTさん96女子予選 5.12aの核心のムーブを組み立てるFSさん

6月11日 ソウル・東大門

 クライマーご用達の店も含め、ここら辺りの食堂は夜遅くまで営業し、そして、朝早くからも店を開いている。昼間はイタリアのようにシエスタ(昼寝のための昼休み)があるのだろうか。無いよな~。皆さん、本当に働き者である。

 7時30分におばさんの店に入ると、すでに、先客2名が朝食を摂っている。私たちが席に座ると、おばさんは奥から鍋を持ってきてくれた。

 アワビ粥だ! ワーッ! 実に美味しい。

 バスの出発の時刻が近付いた。おばさんはバス停まで見送ってくれたが、涙が出るというので、バスが来る前に食堂へ戻っていった。

 今回も大変お世話になり、本当にありがとうございました。来年もまた来たいと思っています。


 さて、ソウルへ戻り、東大門市場の登山用品店へ向かった。昨年、ソヌンサのお坊さんクライマーが紹介してくれた店だ。
 パキスタンのトランゴタワーを登ったという英語の出来る女子店員に聞くと、お坊さんクライマーはソヌンサから他のお寺に移ったという。首になったのか、と聞くと、そうでないから安心して、とのこと。

 ところで、皆さん何をお買い求めになったかというと、女性人はお揃いでスポルティバのガンダルフ。イタリア製で、日本で買うととても高いシューズらしい。いつか、日本で揃い踏みをする日が来るのだろうが、その日が待ち遠しくて仕方がないに違いない。

 韓国、良いとこ、一度はおいで。来年もまた、行くことになりそうだ。

登山用品店ガンダルフを試着ガンダルフ

投稿者 sue_originalcv : 2010年06月19日 06:17

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コメント

いやー、実に楽しかったですなぁ。
韓国ツアーはスエさんを欠いては計画できませんね。
今度は近くのインスボンにしましょうか?
ショイナードのクラックを登りに♫

投稿者 Shinichiro FUKUHARA : 2010年06月25日 22:19

「私も行きたい」という方も出てきました。また、来年も宜しくお願いします。

投稿者 sue : 2010年06月27日 06:02