« たそがれクライマー奮闘記(6) 人間の体の動きで美しいものとは? | メイン | たそがれクライマー奮闘記(8) もうひとつの安定したポーズ »

2012年03月25日

たそがれクライマー奮闘記(7) スラブクライミング・テクニック

 まだ、前提としたいことはたくさんあるが、前置きばかりが長くなるのでつまらない。ここで具体的に話を進めて行こう。

 スラブを美しく登るにはどうすればよいか。結論を言うと、伸身で登ればいいのである。それは何かと言うと、一歩一歩完全に乗り込んで登っていけばいいのである。まず、一方の足をフットスタンスに置く。そして、そこに完全に乗り込む。そのとき、頭の先から、足のくるぶしまでは一直線である。膝が曲がってはいけないし、腰も曲がってはいけない。イメージ的には片足でヤジロベエのように立っている状態だ。次にもう一方の足を次のスタンスに置き、同様に完全に乗り込む。両手と軸足でないもう一方の足は補助をする程度。これを続けていければ理想形だ。

 初心者にはこれができない。抱え込みの姿勢から、抱え込みの姿勢へと移る。例えば、右足をフットスタンスに置き、立ち込もうとするが、完全に膝や腰が伸び切る前に、左足を次のフットスタンスへ出してしまう。つまり、へっぴり腰の状態で登り続けてしまうということだ。これはやはり美しくはない。

 と、偉そうに話はしたものの、実は私も出来ないのだ。時々、FTGスクールの皆さんと小川山で一緒に登ることがある。私は簡単なところから登り始める。5.8、そして、5.9。この辺りまでは完全に乗り込む姿勢というのを意識して登るのだが、5.10a、10bとなると段々と怪しくなってくる。5.10d以上は私にはお手上げだ。
 「スエさん、そんなへっぴり腰じゃ登れないわよ。」とFTGの生徒さんから言われる。わかっちゃいるけど修正できないのだ。傾斜が相当にきつくなる状態で、膝や腰を伸ばして立っていられないのである。FTGの生徒さんの方がはるかにうまい。
 
 小川山の開拓者の一人であるHさんからは「親指の付け根にぐっと力を入れて立ち込むんだ」と言われるが、なかなか出来ない。FTGのTさんは簡単そうに登っていく。驚いたことに、Tさんは親指の付け根だけではなく、親指の付け根から先の爪先部分がべたっと壁に付いている。足首の関節が相当に柔らかくないと出来ないことだ。

 スラブの想い出と言えば、宮崎県の雌鉾岳に行ったとき、鹿川庵のメンバーであるYさんは1ピッチ目を両手を着かずに、普通の道を歩くようにスタスタと登っていってしまった。エーーーって感じ。また、韓国のインスボンのクラックを登っていたとき、FTGのTさんは傾斜が少しでも緩くなると、クラックを登らずにスラブをスタスタと登ってきた。エーーーっ、普通はクラックを登るでしょって、感じ。

 私もスラブを美しく登りたい。次回生まれ変わってくることがあったらTさんのように柔らかい足首の関節を持ったクライマーになりたい。こんなことを考えていると、Hさんからは努力が足りないと叱られそうだ。
 

投稿者 sue_originalcv : 2012年03月25日 22:36

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.originalcv.com/climbing/cgi/mt/mt-tb.cgi/348