2010年03月25日

沖縄クライミング旅行記2010

 今年もまた、3月18日から23日まで、第6回勝山シークヮーサー花香り祭に合わせて沖縄でクライミングを楽しんできました。これはその旅行記です。

 ビデオ作品「ちむどんどん勝山2010」のオープニング映像はこちら

3月18日 那覇
 羽田から3時間弱で那覇に到着。機外へ出ると、生温い空気に包まれた。
 SBさん、SNさんは先に到着されており、Fさん夫妻と私がここで合流し、全員集合。ホテルへ向かうために、バンのタクシーに乗った。
 「那覇ウエストインまでお願いします。」
 「???」
 タクシーの運転手さんはわかりかねて、もう1台のタクシーの運転手さんにホテルの場所を聞いた。

 「まあ、行ってみましょう。」 

 それらしき所に着いたけれど、ホテルは見当たらない。運転手さんは、直接、ホテルに電話をして場所を聞いた。ゆるゆると車を動かし、「ファミリーマートの前って、言っていたけど‥。」

 「あっ、有りました。」

 看板が光っているわけではないので、わかりづらい。
 中に入ってみると、ウィークリィ・マンションの作りだ。内装はきれいで、安いし、全然OK。最近はこんなホテルもあるんだなぁ。めでたし、めでたし。

 さて、夕食を終えると・・・。行かなければいけないでしょう、沖縄民謡酒場。
 大城美佐子さんの店に入ると、ご本人がいらした(毎週木曜日にはいらっしゃるようだ)。この店に入るのは3回目だが、初めてお会いした。

 そうこうする内に、大城さんが二升五合の大瓶を抱えている。二升五合の意味は、升升半升(益々繁盛)とのことだ。

 「飲む?」
 もちろん、首を縦に振ると、グラスに注いでくれた。ふわっと、香りが漂う。まろやかな味だ。

 FSさんが間髪入れずに説明してくれた。
 「これが波照間島の泡波。誰でも手に入れることができるわけではない幻の泡盛です。」

 「へぇ~」と心でひれ伏しながら、両手でグラスを持ち、ちびりちびりといただいた。今回の沖縄ツアーも面白いことがありそうだ。

ホテルの部屋美味・・・豆腐の上に魚二升五合の泡波


3月19日 座津武
 すがすがしい朝だ。 他のホテルに宿泊されていたOKさんをピックアップして、那覇を8時半頃出発。一路北へ向かう。
 名護市を過ぎて、西の海岸沿いをさらに北へ向かう。陽光に珊瑚が輝き、海のブルーの変化が眩しい。
 美しい海岸、そして、美しい海なのに、泳いでいる人は一人もいないし、漁船を一隻も見かけない。そして、車窓から眺める風景はどこかしら五能線沿いに似ている。

 トンネルを過ぎたところで車を左のスペースに止め、ハーネスを装着し、クライミングの準備に入る。走っている他の車の人たちから見れば、私たちは何をやっているのだと思うだろう。

 まず、海に突き出したフェースを1ピッチ登り、反対側に2ピッチを懸垂下降して基部に降り立つ。
 海がおだやかだ。昨年の残波の激しい波に比べて、なんと穏やかな波だろうと思っていたのだが、後で地元の方に聞くと、北風が吹くと、ここの座津武の方が激しく波に洗われるそうだ。そういう意味で、今日は恵まれていた。

 洞窟を中心として、その左右にいくつかのルートがあり、トライしたが、体の振りが出来ておらず敗退。ま、最初はこんなものかな。
 帰りはチムニーを登って行かなければいけないのだが、完全にスタックして、手足が傷だらけとなってしまった。あーあ。

座津武の岩場の取り付き海岸から1ピッチ登るSNさんルーフをオンサイトするSBさん

 本日の宿。民宿ヤンバルクイナ荘に向かう。囲炉裏の食堂があり、そこで地元の食材を生かした料理を味わった。上弦の月がふわふわと浮かんでいた。

登り返しのチムニー民宿ヤンバルクイナ荘の囲炉裏民宿ヤンバルクイナ荘の夕食


3月20日 勝山 (1階)

「地獄の釜のふた」という名前?鯉に睡蓮?シークヮーサーの花

 重いものを持ったわけでもないのに、10日ほど前から腰が痛み出していた。そして、昨日のクライミングでその痛みが増していたところだった。この話をSBさんにすると、同じような経験をされており、「腰痛体操が効くよ」というので教えていただいた。

 すると、あら不思議。痛みが消えていくではありませんか。
 シェーシェー、カムサムニダー、コープクンクラップ、グラッツエ、ダンケシェーン、サンキュー・・・。あらゆる言葉を使って感謝しても感謝しきれないぐらい嬉しかった。SBさん、本当にありがとうございました。

 今日から第6回勝山シークヮーサー花香り祭が開催する。会場へ着くと、地元の関係者の皆さんに挨拶をしてから、勝山の岩場に向かった。今日行くところは、我謝汝姑ばんた(通称:ロストワールド)エリアという正式名称があるが、地元の方は「1階」だとおっしゃっていた。ということは「2階」、「3階」があるわけで、難しい名前を呼ぶよりもその方がわかりやすい。
 ここには、竪穴の中を登っていくという珍しいルートもある。ひと通り登り、そして、撮影して、本日のクライミングは終了。

竪穴ルートの下部を登るOKさん竪穴ルートの中を登るSNさんルーフをスウィープするFTさん

 陽が落ちて本日の祭のイベントも終了。公民館の前のテーブルに三々五々集まると、自然とクライミングのノウハウ講習になっていた。沖縄山岳会の方は本当に真面目で熱心である。FSさんのサンバのリズムに合わせたステップを皆で同時に練習する。それは傍から見れば、マイケル・ジャクソンのスリラーを踊っているようなものだ。

 うーん、勝山は熱い!!!

マイケル・ジャクソンのスリラー?


3月21日 勝山 (2階)
 深夜から未明にかけて、雨になり、強い風が吹いた。雲が切れて、お天道様が上がり始めると、風も収まってきた。強い風のおかげで、濡れた岩も乾いてしまった。今日もクライミング日和だ。

 勝山(2階)に行く。昨年はここに逃げ出したヒージャー(ヤギ)がいたが、今年はいない。誰かが捕まえて食べてしまったのかも・・・。

 ところどころに岩場に草が生えている。Bさんがドイツに引っ越してしまったので、コマめに岩場の草取り(Bさんはガーデニングと呼んでいた)をする人がいなくなってしまった。私たちはルートを登って降りてくるときに、Bさんがしていたようにガーデニングをした。

 FTさんはそれでもあきたらず、刈り込みハサミで周りの木やつたを落とし始めた。やはり、南国だ。暖かくて雨が多いので、木の繁殖もすごい。FTさんがクライミングをしているときは美しく華麗に登ってしまうので、掛け声など聞いたことはないが、ここの木やつたを落としているときは、「エイ、ヤー」とかの掛け声がかかる。おかげさまで、岩場にかぶさっていた木もなくなり、岩場が明るくなった。ご苦労様でした。

アウトサイド・フラッギングを
決めるFTさん
クラックをオンサイトするSBさんクラックを登るSNさん

 クライミングを少し早目に切り上げて、ヒージャーオーラセー(闘ヤギ)を見に会場の方へ向かった。ヤギが尻尾を振っている間は戦う気迫十分。尻尾を振らなくなると戦意喪失で闘いを止めるそうだ。
 今年のヒージャー抽選会も、一等賞はヒージャーだ。二等、三等の他、たくさんの景品もあるけれども、皆さんのお目当てはなんといってもこのヒージャーだ。

 その後、空手演武が行われた。4歳の子から元世界チャンピオンまで、皆さんすさまじい迫力と演武だ。常に世界の頂点を目指し、そして、そこに立ってきた実績は誰が見てもわかる。すごい。

空手演武空手演武結婚披露宴を行った勝山区長

 祭が終わって、公民館の中では打ち上げと勝山区長の結婚披露宴の2次会が行われた。大正琴の合奏あり、踊りあり、歌ありで大いに盛り上がったのであった。

大正琴の演奏沖縄山岳会のメンバーによる歌やはり、この方しかいないでしょう。
独唱するFSさん


3月22日 勝山 (3階)
 朝起きても、昨日の祭の余韻が残る中、後片付けを行った。

 そして、今日は勝山(3階)に赴いた。ここは少し岩がもろい。しかし、勝山で唯一のコルネ登りもできるし、楽しいエリアだ。

 一方、私は毎日続くクライミングに体が少々バテ気味なのだが、それ以上に毎日続く酒盛りに胃腸の方もバテ気味なのであった。昔、こういうことを「内憂外患」と言ったんじゃなかったっけ? えっ、意味が違う? すみません。

 今日はFTさんによるクライミング教室が行われた。細かい手足の動き、バランス、目線の位置などの説明を聞くと、「なるほど、なるほど」とうなづくばかり。
 ところが、それを自分が実践に移そうとすると、頭がパニックになって体が動かないのである。
 「えっーと、次はどうするんだったっけ?」

 「目が足先を追ってない!」 「腕が曲がっている!」 「膝を伸ばして、お尻をあげて!」

 ますます頭の回路がパニックになっていくのであった。

 クライミングの基本はそれ自体が難しいのではなくて、頭で描いていることを実践することが難しいのだろう。そのためには一にも二にも三にもクライミングを経験するしかないんだなあとつくづくと感じた。

 
 さて、この3日間、「1階」、「2階」、「3階」と登ってきた。この勝山にはこの先に「4階」という岩場はない。私はこれで明日の「4階」のクライミングはない、とほっとしていたところ、SNさんから

 「それは5階(誤解)です。」

と言われてしまった。

 かつやま~~~! 奥が深すぎる~~~!

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2009年03月26日

沖縄 「勝山シークヮーサー花香り祭り」とクライミング 2009

090323kakushin.jpg 3/18から3/24まで沖縄の勝山、残波へ行ってきました。これはその旅行記です。

 ビデオ作品「Chim Dong Dong, Katsuyama 2009」のオープニング映像はこちら

3月18日 那覇

 Fさん夫妻と羽田空港の出発ゲート前で待ち合わせた。
 ロビーのディスプレイはWBC2次ラウンドの日本対韓国戦を放映している。多くの人はディスプレイの前に釘付けだが、9回で3点差のビハインド。最後の結果を見ずに、飛行機に乗り込んだ。逆転は難しいだろうなあ。

 那覇に到着。天気は曇り。むっとする湿度だ。
 レンタカーを借りて、本日のお宿Hotel ROCORE NAHAに到着。お洒落なホテルだ。セキュリティーのため、エレベーターに乗るにも、カードのキーを読みとらせねばならない。タイ・アオナンのバンガローはそんな気むずかしいことをしなくても安全だったけどなあ。

 夕食を済ませた後、沖縄民謡の店に入る。ボックスは混んでいて座れないので、カウンターに座る。三板(さんば)の使い方を教わるが、なかなか難しい。Fさんは沖縄民謡は南米のサンバのリズムと同じと言う。私には高尚過ぎて理解できないが‥‥。

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このTシャツはいかが?三板(さんば)を巧みに鳴らす見事な踊り


3月19日 勝山

 昨年お世話になったAさん宅へ立ち寄り挨拶をして、勝山に向かった。
 天気は曇り。山道は濡れており、苔の生えた琉球石灰岩の石ころはツルツルと滑った。捻挫しそうだ。要注意!
 新しいエリアを登り始めるが、気持ちはWBC第2ラウンド敗者復活戦の日本対キューバ戦が気になる。携帯でAさんに電話をして、試合状況を確認した。4点差で勝っていると言う。
 不思議なもので、勝っていると聞くと、気持ちが軽くなって、よし!登るぞ、という気になってくる。日本の勝利と共に、コルネのクライミングを完登。気分良く、本日の宿泊先、Bさん宅へ向かう。
 Bさん宅へ着くと、Bさんご自身が気持ちのこもった料理を作り待っていた。ありがとうございます。そして、みんなで乾杯!

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シークヮーサーの花新しいエリアで登るTさんインサイド・フラッギングを決めるSさん


3月20日 祭り前日

 勝山の岩場へ着くと、すべてのルートが濡れていた。あっさりと本日のクライミングは諦めた。
 祭りの準備が進む公民館へ行くと、WBC第2ラウンドの1位2位を決める日本対韓国戦をやっていた。熱を入れて日本を応援。日本の勝利で、今日も美味しいビールが飲めそうだ。
 その後、祭りののぼり作りを手伝い、Bさん宅に帰宅。
 宮崎からAさん夫妻も合流。
 夕食はきれいなビーチを10分ほど歩いて和泉食堂へ行った。煮込み定食800円を食べたが、その量の多さに脱帽!ごちそうさま。

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勝山シークヮーサー花香り祭りののぼり猫の名前はカツ煮込み定食800円! このボリュームに驚くばかり


3月21日 勝山シークヮーサー花香り祭り

 今年の勝山シークワーサー花香り祭りの入場券は300円であるが、最後に抽選会がある。ハズレはなく、1等はなんとヒージャー(ヤギ)なのだ。当たったらどうしよう、という期待感と不安感がたまらない。
 さて、今日は我謝汝姑ばんた(通称:ロストワールド)エリアへ向かった。昨夜の強い風で岩場は乾いていた。簡単な右側のルートと5.10dのルートを登った。少しかぶっていて面白い。

 祭りのプログラムのひとつに山登りがあり、興味のある方はロッククライミングの見学や体験ができるというコーナーもある。ビレーヤーとしてお手伝いをさせていただき、多少なりとも祭りに参加できたことは嬉しい。沖縄では、クライミングを楽しむ方はまだ多くないと聞く。この体験で少しでも多くの方にクライミングの楽しさを知っていただければと思う。

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巨大山芋 隣のキャベツと大きさを比べてみてチャレンジするOさんリードするSさん


3月22日 祭りの二日目

 昨夜は遅くまで盛り上がった。とはいえ、7時過ぎには山登りの参加者が会場に集まってきた。そして、主催者の挨拶が始まった。
 「この勝山には険しい山があり、その麓に50世帯ほどが住んでいます。この土地を活かすため、シークヮーサーを栽培しています。そして、そのシークヮーサーの木の下草を刈って、ヒージャー(やぎ)のえさにしています。つまり、この勝山は、この険しい山とシークヮーサーとヒージャーで成り立っているのです。
 どうか本日お越しの皆さん、この勝山を存分に満喫してお帰り下さい。」

 第5回目を迎える勝山シークヮーサー花香り祭りは年々入場者が増えているという。今年は勝山の人口の30倍の人が詰め掛けると聞く。これはすごいことだ。
 私の住む横浜市南区の人口は約20万人。もし、ここに30倍の人が詰め掛けたとすると600万人を受け入れる準備をしなければならない。つまり、北海道の全人口を受け入れることになるというわけ。わーお。

 私たちはニューエリアの岩場に向かったが、ここで、さ迷えるヒージャーを発見。闘ヤギ(ヒージャーオーラセー)が怖くて逃げてきたのかしら?
 空はどんよりと曇り、帰り間際にとうとうどしゃぶりの雨が降ってきた。それでも祭りの催し物は公民館の中で続けられた。関係者の皆さん、本当にご苦労様でした。

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祭りのステージルート上の草を抜き、ルートの手入れをするBさん宮崎からお越しのAさん


3月23日 残波

 昨日の雨も上がり、出かける準備をするが、どうしても見なければいけないものがある。WBC準決勝の日本対アメリカ戦である。蓋を開けてみると、日本の強さが際立った。そして、午後から残波へ向かう。

 ここは海岸沿いにあるエリアだが、波が岸壁に砕け散る勢いがすごい。砕け散る波と共に、そのしぶきが強烈に吹き上がってくる。ビデオカメラのレンズに次々に水滴がつく。
 Fさん夫妻はここをがんがん登る。この圧倒的な自然の迫力の中で、それに飲み込まれずに登るには相当なモチベーションが必要だ。ランナウトする核心部分を大フォールしながらも登るSさんの気力は相変わらずすごい。

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波打ち際から登る この場所も大波で洗われてしまう核心部を登るSさん回収するTさん


3月24日 帰浜

 夕方、那覇空港から羽田行きの便に乗り、横浜へ帰る。
 しかし、その前にやることがあるでしょう。WBC決勝戦、日本対韓国を観戦すること。

 手に汗握る攻防に、笑ったり泣いたりの連続だ。クライミングするよりも疲れる。でも、結果は日本チームの優勝。日本チームの精神面の強さには驚かされるし、一方、韓国チームの粘り強さも見事だった。どちらのチームの選手も心から賞賛したいと思う。

 今回の旅は、勝山シークヮーサー花香り祭りと沖縄クライミングがメインなのであるが、WBCを切り離すこともできない。このような旅もまた面白かったのではないかと思う。

 最後に、沖縄でお世話になった皆さんには心より感謝を申し上げます。

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2008年03月20日

沖縄 「勝山シークヮーサー花香り祭り」とクライミング

080315top-nankuru.jpg  Fご夫妻が主催するFTGスクールの皆さんと、3月13日から16日まで沖縄へ行って来ました。もちろん、クライミングが主体だったのですが、十分に沖縄を満喫させていただきました。
 現地で、最初から最後までアテンドしていただいたAさんには改めて深く御礼申し上げます。

 これはその記録です。


 ビデオ作品「ちむどんどん 勝山」のオープニング映像はこちら

3月13日
 何かと野暮用が多く、あわただしい日々が続いていた。15時40分羽田発の便で出発するが、持って行くものの準備を始めたのはお昼を回ってから。何か忘れ物があるんじゃないかと不安になったが・・・。基本的に、タイに行ったときと同じものを持っていけばいいんだよなあ。

 Fご夫妻と共に、沖縄・那覇空港へ到着。むっとした生暖かい空気を感じるが、タイへ行ったときのような暑さではない。しまった。1枚の長袖を除けば、Tシャツしか持ってきてないんだけど・・・。
 
 それにしても、沖縄へは29年ぶりである。前回来たときは大学生で、かつ、旅行会社の添乗員のアルバイトという内容だった。今回は歳も目的もまったく違う。さて、どうなりますやら。


3月14日
 朝、起きるとあいにくの雨。今日は観光ということになった。

 那覇のホテルのロビーまで、Aさんに出迎えていただいた。Aさんの登山履歴を伺うと、出迎えていただくなど大変畏れ多いことだとわかった。気安く話かけることなどもったいないのだが、当のAさんは誰にでも気さくに声をかけ、やさしく、とても紳士的なのだ。山屋というのは何かと見栄を張ったり、えばったりするものだという先入観があるのだが、このような方もいらっしゃるのかと頭が下がった。

 まずは具志頭浜へ向かう。沖縄を代表するボルダーエリアを見ようということだ。遠浅の海に面した美しい奇岩群。傘をさしながらいくつかのボルダーを見て回った。
 第二次世界大戦のとき、沖縄上陸はここら辺りから始まったと聞いた。丸く見える水平線上に無数の軍艦が浮かんでいたに違いない。艦砲射撃が連日続く。それを想像しただけで足が震えた。

 地元クライマーの拠点と沖縄ガラス細工を見学。ひめゆりの塔でお参りをした後、海軍壕へ向かった。ここは旧海軍司令部跡だ。鍬やつるはしで掘ったという壕は生々しいが、大田實司令官が大本営に打電した「沖縄県民かく戦えり」はジーンときて目頭が熱くなった。

 そして、車で北上。残波岬のエリアを見た後、お菓子御殿に行き、そして、海ぶどうの直売所へ行った。生まれて初めて海ぶどうを食べた。食感がたまらなく良い。野菜のキャビアと言われるとんぶりのような感じだが、海ぶどうは海草の一種である。東京ではこちらの10倍の値段がつくという。適温は20度から27度。冷蔵庫へ入れると萎んでしまう。だから、保存が難しいのだ。

 今日一日の濃厚な観光を終え、那覇へ。夕食を終えても最後の一仕事。沖縄民謡を聞きに行かなくっちゃ。
 小さな店のドアを開け、私たちが入るとボックス席はいっぱいになってしまった。間髪入れずに、ステージで歌が始まる。最初からテンションが高い。隣の席のお客さんはこちらを「親戚連合」と呼び、踊れ踊れの合図。阿波踊りしているのか、何を踊っているのかわからなかったが、ま、とにかく手足を動かした。
 その後、店のお姉さんの踊り。お姉さんといっても私よりはずっとご年配。披露するのは、若い娘さんの踊りだという。踊りが始まるとびっくり。手のひら、肘の動きが柔らかで、足元の動きに無駄が無い。小首の傾きが洗練されていて、本当に美しい若い娘さんになってしまっているのだ。やあー、本当に美しいものを見せていただいた。ありがとうございました。


3月15日
 晴れた。私たちは観光に来ているのではなくて、クライミングに来ているのだ、ということを知らせてくれた。
 雨後の朝陽は眩しく、亜熱帯の木々の緑がみずみずしい。名護市勝山に着く。「勝山シークヮーサー花香り祭り」が今日明日と開催するのだ。私は勝山というところは大きい町なのだろうと思っていたが、地図で見ると小さな字だ。那覇で勝山へ行くと言っても、那覇の人達でもわからない人がいるかもしれない。
 今回で第4回を迎えた「勝山シークヮーサー花香り祭り」は、そういう意味で、勝山の町おこしの一環なのだ。同時に、ここで地元青年団の「勝山つたえ隊」から開拓が許可されているクライミングエリアも町おこしの意味を持っている。

(注:クライミングエリアに関するルール
1.「勝山つたえ隊」への入山届け
2.駐車は、「勝山つたえ隊」の事務所・あずまやの前に限定されている。けっして農道に入らないで下さいとのこと。<車の乗り入れは公民館のある峠まで>)

080314arukihajime.jpg さて、車を降りて歩きだす。シークヮーサーの花は白くて小さいが、咲くにはまだ少し早いようだ。シークヮーサーの畑を通り過ぎるとジャングルである。細い道に岩がごろごろしているが、これがまた滑る。なんとも歩きにくい。

 そうこうしているうちにニューエリアへ。ジャングルの中の岩場だ。まず、このエリアを見て思ったことは素直に開拓者に敬意を表したいということだ。このジャングルを切り開くのにどれほどの労力が必要か。今日も米軍のクライマーは木を切り、浮石を叩き、泥をかき落とし、黙々と作業を続けている。
 その横で、彼らが開拓したルートを登らせてもらう。何かちょっと申し訳ないような・・・。でも、彼らは「沖縄山岳会のためにもうひとつ作ったよ」とニコニコしている。
 では、遠慮なく登らせていただきます。

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5.10b5.10bツァラトゥーストラ 5.10b をナチュプロで登る

 岩質は石灰岩だが、そんなにとげとげしていない。まだ、開拓されたばかりなので、浮石には注意が必要だが、それも登り込まれることによって解決されるだろう。また。このエリアは木陰なので涼しい。グレード5.10台が多数あるので、初心者にも優しいエリアだ。

 ルートの途中まで登り、FTGスクールの皆さんを撮影させていただいた。皆さん、登り方がきれいですね。


3月16日
 昨夜はAさん宅にお世話になった。朝陽が美しく映え、なんとも心が落ち着くところだ。

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東の海から昇る朝陽朝露に濡れる花朝陽に映える花

 しかし、今日の予定もあるので、早々と出発する。
 今日行く岩場の名前は、我謝汝姑ばんた(通称:ロストワールド)である。岩はしっかりしていて、ガバなので、ちょっとプラナンを思い出したりする。また、途中から煙突状に穴が開いており、それを登っていくという変わったルートもある。
 Sさんはこのエリアの看板ルート「なんくるないさー 5.11d 」を登るというので、撮影することにした。

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なんくるないさー 5.11dなんくるないさー 5.11dなんくるないさー 5.11d ニーバーを決めノーハンドレスト

 昼過ぎに撤収。勝山シークヮーサー花香り祭りで、闘ヤギ(ヒージャーオーラセー)を開催するというのでそれを見に行く。ヤギとヤギとの闘いだが、結構激しい。

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ヒージャーオーラセーヒージャーオーラセーヒージャーオーラセー

 そして、忘れてならないのが、勝山のシークヮーサー。絶品である。ここのシークヮーサーを味わうと他のシークヮーサーは味気なくなる。地元の泡盛と勝山のシークヮーサーのブレンド。何杯飲んでも飲めてしまう。違う意味で最も危険な組み合わせだ。皆さん、要注意!!


 最後はAさんに那覇空港まで見送っていただいた。今回は短期間でも相当に濃厚な旅だった。次の行動が予測できず、新しい発見が次から次へとあった。世の中にはまだまだ知らなくて、面白いことがいっぱいある。案内をしていただいたAさんとFTGさんには感謝、感謝です。

 そして最後に、FTGスクールの皆さんは明るくて和やかでいいですね。
 Fご夫妻もそうなのだが、生徒さんの中にも膝を故障されている方がいらっしゃる。「手術をするとクライミングできなくなるから、しない。」とおっしゃっていた。痛みをこらえて大変だと思うが、クライミングの楽しさと、そして、このスクールの楽しさが無くてはならないものになってるんだなあと感じた。


 「ちむどんどん 勝山」。 そして、「ちむどんどん クライミング」ですね。

 (ちむ=胆 どんどん=どきどき すなわち、わくわくどきどき)

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投稿者 sue_originalcv : 12:04 | コメント (1) | トラックバック

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