2015年01月09日

1月8日 幕岩・小ハング左凹角ルート

 1月8日は幕岩・正面壁へ出かけて来ました。トップロープでやっとこさ、小ハング左凹角ルートを登りましたが、次回はトップロープリードで自信をつけた後、なんとかRPしたいと思います。


(小ハング左凹角ルートを登るMさん)

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2015年01月07日

あけましておめでとうございます

 昨年後半から、ありがたいことに撮影・編集のご依頼が多く、なかなか「オリジナル・クライミング・ビデオ」サイトの更新まで手が回りませんでした。

 また、私自身もスポーツクライミングから少々離れていましたので、体力的にかなり落ちてしまい、以前は簡単に登れていたところも登れなくなってしまいました。

 今年は少しずつスポーツクライミングにも力を入れて、体力を回復させたいと思っています。

 もちろん、OCV会員の皆様と一緒にクライミングの撮影・編集も頑張りますので、よろしくお願いします。

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2014年07月01日

ギュリッヒの名著

 本棚から埃をかぶったギュリッヒの「フリークライミング上達法」を取り出し、パラパラとめくってみました。
未だに凄いですね、この本は。20年前に出版されたとは思えません。

 「Ⅶ級のエキスパートはⅧ級の上級者でありⅨ級の初心者である。」

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2014年06月29日

映像という世界

 何か遠いような、近いような、長いような、短いような気がします。

 OCV会員制度を始めてから約2年が経ちました。お客様に真にクライミングの撮影・編集の代金をいただいてビジネスになるのかどうか、それは未だにわかりません。
 でも、本当にありがたいことに、OCV会員になっていただいてご協力を下さる皆さんが実際にいらっしゃいます。世の中は本当に見捨てたものではないと実感できる一瞬でした。

 それまで私のやっていることは「人」の「為」であると思っていましたが、それが「偽」であると知ったときには相当にショックでした。そして、そこから完全に立ち直っているわけではありませんが、自分がこの世の中に役に立てるのはこれ以外にないと結論に達したときには私を信じてOCV会員になって下さった皆さんに私の持っているものすべてを投じて、皆さんに何か未来の光が見えるようなことが自分に出来ないかと模索している毎日です。

 映像という世界は何を私たちに見せてくれるのか、それが私の永遠のテーマです。

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2013年07月30日

「あれか、これか」

 私はもちろん、キルケゴールのような哲学者ではないので、この命題に答えるものを持っているわけではありません。
 ただ、あれもこれも出来ないので、やはり、あれかこれかを選択しなければならないということなのです。

 「オリジナル・クライミング・ビデオ」はビデオ作品だけではなく、アタック・ザ・ルートや週末のチャレンジのようなビデオクリップ、そして、ブログも持っています。それらに加えて、ビデオ作品が作られた場所をグーグルマップで示したり、これまで撮ったクライマーの静止画をクライマーズ・フォトで紹介しています。そして、それらすべてをデータベース化しているのです。
 これに加えて、最近はYouTubeにアップしたり、Facebookと連携を取ったりと複雑なことは極まりありません。これを一人でやっているのですから、ちょっとどこかで休憩したいのです。

 ある意味、10年以上も続けているこの動画サイトはある種の化け物のようになっています。整理しなければならないとは思うのですが・・・。

 当面、Facebook関連はちょっとお休みして、このブログに集中しようと思っています。

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2013年01月09日

小さな冒険

 最近、クラッククライミングが楽しくて仕方がない。グレードは5.8とか5.9しか登っていないのだが、とても新鮮なのだ。
→ なぜ?
 そこには緊張感がある。つまり、恐い。ということは、少なからず危険というわけだ。自分のカムのセッティングはうまく出来ているのか、ここで落ちたらカムがはずれないか、などと考えた瞬間に体が硬直して動かなくなる。
 しかし、その緊張感があるからこそ、メンタルが鍛えられる。
→ 「安全」は果たしてベストか?
 クライミングは人それぞれ楽しみ方があり、それをとやかく言うことはできない。
 しかし、今の私に関しては、安全の代名詞である「トップロープで登る」ということにあまり魅力を感じなくなってしまった(まったくトップロープをやらないというわけではない。ケース・バイ・ケースだ)。
 トップロープは安全だからこそ、大胆なムーブをトライできるし、フォールをすることに何のためらいもない。フィジカルは鍛えられる。しかし、メンタルはどうだろうか。それが一人の人間の成長と考えた場合、正常だろうか。
→ 「オンサイト・リード」は小さな冒険だ!
 まだ自分が登っていないルートをトライする。それがクラック・ルートとなるとボルトが全くないわけで、自分でカムをセッティングしていかねばならない。そこにはルートの観察が必要となるし、どこでカムをセッティングし、その種類も予め考えておかねばならない。そして、最も重要なことはそれを登りきるという自信だと思う。
 その自信は日々のクライミングの研究であるし、日々のトレーニングによって培われる。だからこそ、この「オンサイト・リード」という小さな冒険を試みることができる。そうでなければ無謀だ。冒険と無謀の境を見極めることは難しいが、それこそが個人のメンタルな問題なのだろう。

 「冒険」という響きはすごく耳に心地よい。フィジカルだけ鍛えてメンタルを鍛えないというのは「仏作って魂入れず」に近いような気がする。そう思うのは私だけであろうか。

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2012年09月23日

城ヶ崎クラッククライミング 9月22日

暑さと冷や汗で喉はカラッカラ

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2012年05月19日

たそがれクライマー奮闘記(16) フラッギング

 月日が経つのは早いもので、オリジナル・クライミング・ビデオのデータベースを作っていたら、あっという間に20日間が過ぎてしまった。つまり、久しぶりにここに戻って来たら、20日は過ぎていたということである。

 さて、アウトサイド・フラッギングやインサイド・フラッギングを使う機会はあまりないかと思いきや、実を言うとそうでもない。すべて、カウンターバランスに切り替えて登っているケースもあるので、それに気がつかないだけだ。フラッギングを使った方がムーブの流れとして良い場合もある。

 フラッギングとは、右手、右足、或いは、左手、左足の2点でバランスを取る方法である。右手、右足でバランスを取る場合、左足を内側に入れる方法をインサイド・フラッギング、そして、左足を外側に出す方法をアウトサイド・フラッギングという。

 では、どういうときにフラッギングを使うかを思考実験してみよう。
 垂直に1本引かれたラインに等間隔でホールドがあるとする。いわば、普通の梯子を想像してもよい。これはカウンターバランスを使えばスムーズにきれいに登ることができる。この場合、フラッギングは使わない。
 次に、先程述べた垂直のラインと同様にもう一本ラインを右側(或いは左側)に引き、ホールドは先程のラインと同じように等間隔ではあるが、先程のラインのホールドの位置とは互い違いになるように配置する。この2本のラインを効率的に登るにはどのようにすればよいだろうか。
 あなたの思っているその通り、フラッギングを使えば無駄が無い。

 実際の岩場でもこれを使うケースは頻繁にあるのだが、気付いていないだけなのだ。日頃から意識して練習していないと、本番ではそのムーブを使えないということになる。つまり、日頃から、どのようにムーブを組み立てて意識的に練習をしているかが、重要なのだ。

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2012年04月26日

たそがれクライマー奮闘記(15) カウンター・バランス

 片手、片足の2点でバランスを取れるのは、それらが垂直線上にあるときに限られる。そうでないとモーメントの力が働いてしまうからだ。
 バランスをとるテクニックとしては3つの方法がある。カウンターバランス、アウトサイド・フラッギング、インサイド・フラッギングである。
 では、クライミングで最も頻繁に使い、最も重要なカウンター・バランスを見てみよう。
 左手でホールドを掴んだとしたら、その真下の垂直線上にあるフットスタンスに右足を乗せる。このとき、内股のようにして足先は外側であるアウトサイドステップを使う。ここが最も重要だ。出来る限り軸足となる右足は膝が伸び、右足の爪先から左肩までが一直線上にあるようにすると美しい。そして、左足の爪先は壁を軽く抑える程度。
 このテクニックを使うと最も軽やかに壁を登っていくことができる。だとしたら、ルート・ファインディングをするとき、まずはホールドの真下にスタンスがあるかないかを探すことが最優先。もし、あればカウンター・バランスを使って、どんどん登っていく。1(左手)、2(右足)。1(右手)、2(左足)。つまり、1-2、1-2のリズムでスピードを上げる。上手なクライマーは、やさしいところではビッグホールドやビッグスタンスを使わなくても垂直線上にあるホールドとスタンスを探し出して登っていくのである。ここがビギナーと根本的に違うところだ。

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2012年04月22日

たそがれクライマー奮闘記(14) 安定した3点からの動き

 さて、これまで片手と両足を使っての3点の安定したバランスを見てきた。
 もう一方の片手はフリーだから、次の動作はこのフリーの手を伸ばして、次のホールドを取りにいくことになる。しかし、3点で安定しているので、この手を伸ばす範囲は限られてしまう。つまり、動きが小さくなるということだ。

 また、動作の流れとしては次のようになる。左手でホールドを掴み(1番目の動作)、右足を動かし(2番目の動作)、左足を動かしてバランスをとる(3番目の動作)。次に、右手でホールドを掴み(1番目の動作)、左足を動かし(2番目の動作)、右足を動かしてバランスをとる(3番目の動作)。
 1,2,3。1,2,3の繰り返しだ。昔、アルパインでよく言われた3点確保なのだ。

 確かにこの動作は安定しているが、動作の範囲が限られてしまうし、1,2,3、1,2,3ではテンポも遅い。

 リズミカルに登るには易しいところを1,2、1,2で登っていきたいのだ。では、どのような場合にそれが可能なのか。片手、片足の2点でのバランスを考えてみる。

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2012年04月18日

たそがれクライマー奮闘記(13) アンダー・クリング

 片手でホールドを掴み、両足でスタンスに立っている場合の続きである。最後に、ホールドが真下に向いている場合だ。
 ホールドをアンダーで利かせるとき、体が上がっていかないと十分に体を保持できない。ホールドは腰の位置よりも下にあるぐらいが望ましい。
 片手でアンダーを掴んでバランスを取る場合、サイド・プルと同様に片足はインサイド、もう一方の片足はアウトサイドにすれば、アウトサイドにした方の腰が壁に近付いて、重心が後ろにかからない。

 サイド・プルも、アンダー・クリングも、壁から後ろにはがれてしまうところを、作用反作用の力でこらえることになるので、それ相応の力を使うことになる。この体勢に入る前に十分にレストして、この体勢に入ったらどんどんと登ってしまった方がよい。

 一般の人はハシゴ登りは出来るけれども、このサイド・プルやアンダー・クリングの登りは出来ない。ということはこれらが出来るようになったら、一端のクライマーになったと言えると思う。

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2012年04月17日

たそがれクライマー奮闘記(12) サイド・プル

 片手でホールドを掴み、両足でスタンスに立っている場合の続きである。次に、ホールドが真横に効く場合だ。
 まず、考えなければいけないのがニュートンの力の第3法則である。つまり、作用反作用の法則。片手でホールドを引っ張っている(作用している)のだから、それに対して片足で押し返すようにして、反作用をしなければならない。
 さて、このときの体勢なのだが、両足が外股に開いている(両足先はインサイドを使っている)と、お尻が落ちて、重心が後ろにかかってしまう。これを保持しようとすると、片手に相応の負担がかかる。
 だから、片足はインサイド、もう一方の片足はアウトサイドにすれば、アウトサイドにした方の腰が壁に近付いて、重心が後ろにかからない。その分、片手の負担が軽くなるというわけだ。

 私個人的には、これが出来ない人をクライマーと呼ばないことにしている。逆説的に言うと、これが出来るようになって、初めてクライマーの仲間入りを果たすことができるわけだ。

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2012年04月09日

たそがれクライマー奮闘記(11) 重心の位置

 今は片手でホールドを掴み、両足でスタンスに立っている場合を考えている。まずは、ホールドが真下に効く場合だ。
 このとき、最も手に負担がかからない体勢を探してみると、掴んでいるホールドの真下に体の重心が来るようにすればよい。それには両膝を柔らかくして、ホールドの真下に重心が来るようにすればよいのだが、このとき両膝が曲がっていたら、つまり、お尻が落ちている状態になるが、手には俯角の方向に引っ張る力が生じ、必ずしも負担が軽くなっているとはいえない。
 出来る限り、重心の位置は壁に近づいた方がよい。つまり、お尻が落ちていない状態を作ればよいのだ。どうする?
 片足の膝を伸ばすようにすれば、体の重心は自ずと壁に近付く。もっと言えば、膝を伸ばした足の爪先をかきこむようにして、かかとが上がるようにすれば、より体の重心は壁に近付く。
 この体勢を作れば、完全に片手をレストすることが出来るのだ。

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2012年04月07日

たそがれクライマー奮闘記(10) まずは安定した静止ポーズ

 上手なクライマーの動きは水の流れのようであるが、まずはそれは棚に上げて、ひとつひとつの動きを分解してみよう。

 スラブ・クライミングでは一歩スタンスに立ち込む、そして、次にまた一歩スタンスに立ち込むという話をしたが、フェース・クライミングでもまず良いホールド、良いスタンスのところで安定した静止ポーズを体験してみよう。肝心なことは手よりも足の方が力が強いということである。だから、出来る限り手に負担がかからないように、足で立つにはどのようなポーズが最適かを経験する。
 片手で良いホールドを掴み、両足、又は、片足でバランスをとる。まずはやってみよう。

 なぜ、こんなことをさせるかというと、ビギナーは良いホールド、良いスタンスのところをさっさと登ってしまい、悪いホールド、悪いスタンスのところで我慢しようとするからだ。このようなことをすれば、すぐにパンプしてしまう。
 上手なクライマーは良いホールド、良いスタンスのところではレストしているのである。悪いホールド、悪いスタンスのところをさっさと登ってしまうのである。
 人間の限られた力を使う中で、この違いは天と地ほどの差だ。頭の中では当たり前のようなことではあるが、これが結構できないのだ。

 まずは自分にとって安定した静止ポーズを捜してみよう。そのポーズだったら10分でも20分でも耐えられるような姿勢を。

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2012年03月28日

たそがれクライマー奮闘記(9) フェース・クライミング テクニック

 フェース・クライミング テクニックについては、いろいろと話をしなければいけないと思うが、その前に一般の人はどのような登り方ならば出来るのだろうか。
 単純に言うと、ハシゴならば登れるのである。岩の形状がハシゴのようになっているならば、誰もが登れるのである。ところが、岩の形状はハシゴのようにはなっていない。それでも、これから、クライミングを始めようとするビギナーはハシゴのように岩を登ろうとする。それが問題なのだ。

 では、何をどのようにすれば登れるようになるか。それも美しく・・・。

 美しいクライマーはムーブに淀みがない。時には抱え込み、時には屈伸し、時には伸身になる。流れるようにスムーズに、そして、ダイナミックに動く。これをビギナーに真似しろと言っても、すぐには出来るわけがない。そこでどうするかというと、美しいクライマーのひとつひとつの動きを分解し、まずはそのひとつの動きだけを出来るようにする。次にもうひとつ。そして、もうひとつ。最後にそれを繋げていく。

 まずは頭の中で思考実験し、なるほどと思ったら、それを実際に行動に移してみる。そこが重要だ。単に行動だけしていてもなかなかうまくならないし、例え登れたとしても自己流の癖がついたりして美しく登れるようにはならない。美しく登るイメージを常に頭で考えて、それを繰り返し練習するということが必要だ。だから、ビデオカメラで自分の動きを撮影して、自分自身がどのように動いているのかを見ることは非常に役に立つ。上手なクライマーと自分の動きを比較すれば、問題点は明確になる。

 問題点が明確になれば、自分に欠けているところを意識してトレーニングする。そうすれば、短期間で美しいクライマーに近付くことができる。まずはひとつひとつ意識してやってみよう。

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たそがれクライマー奮闘記(8) もうひとつの安定したポーズ

 人間は伸身でまっすぐに立っているとき最も安定しているが、それと同様に、もうひとつ安定したポーズがある。相撲でいう「蹲踞(そんきょ)」の姿勢だ。
 クライミングでは片足を大きく上げて、ハイステップで完全に膝を曲げて乗り込んでしまったとき、片足蹲踞のような姿勢になることもある。これも安定しているのだ。
 伸身の美しさはクラシックバレエを連想させるが、蹲踞の美しさはコサックダンスを連想させる。

 ま、いろんなダンスが出来るようになった方が引き出しが増えてよい。

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2012年03月25日

たそがれクライマー奮闘記(7) スラブクライミング・テクニック

 まだ、前提としたいことはたくさんあるが、前置きばかりが長くなるのでつまらない。ここで具体的に話を進めて行こう。

 スラブを美しく登るにはどうすればよいか。結論を言うと、伸身で登ればいいのである。それは何かと言うと、一歩一歩完全に乗り込んで登っていけばいいのである。まず、一方の足をフットスタンスに置く。そして、そこに完全に乗り込む。そのとき、頭の先から、足のくるぶしまでは一直線である。膝が曲がってはいけないし、腰も曲がってはいけない。イメージ的には片足でヤジロベエのように立っている状態だ。次にもう一方の足を次のスタンスに置き、同様に完全に乗り込む。両手と軸足でないもう一方の足は補助をする程度。これを続けていければ理想形だ。

 初心者にはこれができない。抱え込みの姿勢から、抱え込みの姿勢へと移る。例えば、右足をフットスタンスに置き、立ち込もうとするが、完全に膝や腰が伸び切る前に、左足を次のフットスタンスへ出してしまう。つまり、へっぴり腰の状態で登り続けてしまうということだ。これはやはり美しくはない。

 と、偉そうに話はしたものの、実は私も出来ないのだ。時々、FTGスクールの皆さんと小川山で一緒に登ることがある。私は簡単なところから登り始める。5.8、そして、5.9。この辺りまでは完全に乗り込む姿勢というのを意識して登るのだが、5.10a、10bとなると段々と怪しくなってくる。5.10d以上は私にはお手上げだ。
 「スエさん、そんなへっぴり腰じゃ登れないわよ。」とFTGの生徒さんから言われる。わかっちゃいるけど修正できないのだ。傾斜が相当にきつくなる状態で、膝や腰を伸ばして立っていられないのである。FTGの生徒さんの方がはるかにうまい。
 
 小川山の開拓者の一人であるHさんからは「親指の付け根にぐっと力を入れて立ち込むんだ」と言われるが、なかなか出来ない。FTGのTさんは簡単そうに登っていく。驚いたことに、Tさんは親指の付け根だけではなく、親指の付け根から先の爪先部分がべたっと壁に付いている。足首の関節が相当に柔らかくないと出来ないことだ。

 スラブの想い出と言えば、宮崎県の雌鉾岳に行ったとき、鹿川庵のメンバーであるYさんは1ピッチ目を両手を着かずに、普通の道を歩くようにスタスタと登っていってしまった。エーーーって感じ。また、韓国のインスボンのクラックを登っていたとき、FTGのTさんは傾斜が少しでも緩くなると、クラックを登らずにスラブをスタスタと登ってきた。エーーーっ、普通はクラックを登るでしょって、感じ。

 私もスラブを美しく登りたい。次回生まれ変わってくることがあったらTさんのように柔らかい足首の関節を持ったクライマーになりたい。こんなことを考えていると、Hさんからは努力が足りないと叱られそうだ。
 

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たそがれクライマー奮闘記(6) 人間の体の動きで美しいものとは?

 私は仕事柄、いろいろな現場で撮影をして来た。クラシックバレエ、ソーシャルダンス、ヒップホップダンス・・・。人間の体の変化の美しさ、そして、その本質をこれだと定義することは極めて難しい。
 しかし、そうは言ってもある種の傾向があるのではないかと思う。誰でもが出来るムーブよりも、誰もが出来ないムーブを美しいと感じるのではないかということだ。そこで閃いたのが器械体操の宙返りの姿勢だ。
 まず、スタートするのは抱え込み、次に屈伸、そして、最後に伸身と続く。あまりに単純化し過ぎて申し訳ないのだが、抱え込みよりも屈伸の方が美しい、そして、屈伸よりも伸身の方が美しいと定義して話を進めていけばどうだろうか。また、そう考える根拠のひとつはその姿勢がもつ自由度だ。かつてムーンサルトというものがあったけれども抱え込みで回転系の技を出すことは難しい。伸身であるからこそ、2回転、3回転、4回転という技が出て来る。だから、抱え込み、屈伸、伸身という順序は美しさの基準であると同時に、回転系の動きの自由度の大きさでもあると思うのだ。
 これをクライミングに当てはめて話を進めていくとどうなるだろうか。

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2012年03月23日

たそがれクライマー奮闘記(5) クライミング・テクニック

 さて、引き出しをひとつひとつ開けていくのだが、それにはその土台となるものがある。それはあらゆるものに共通するように思える。ある人はそれをテクニック(技術)だという。そして、それが磨きに磨かれた段階に入ると美しいアートの世界になる。
 私がまったくの初心者のときに、鷹取山へ行ったことがある。当時、日本のチャンプであったTさんがハングしているマッシュを登っていた。クライムアップし、クライムダウンする。そして、左に、右にトラバースする。自由自在なのだ。圧巻だったのはルーフとなっている端までクライミングダウンしたとき、両足が空中にぶらりと下がっている。その状態で腹筋を使って脚を振り、その脚を垂直の壁にぴったりと付けた。そして、レスト。その後、再び、クライムアップしたのだった。
 それは「上手だ」とか、「すごい」とか言う言葉をはるかに超えたものだ。真っ白なキャンバスに向かって自由に描いてという状態。単に美しいというにはもったいないほどの美。

 私自身も永年、クライミングをし、また、ビデオカメラでクライマーを撮影してきた。難易度の高いルートを登るクライマーもたくさん見てきた。しかし、美しいと思えるクライマーは片手で数えるぐらいに少ない。何故、美しいのだろうか。その美しさの原点は何なのだろうか。私自身は下手なクライマーであるが、ビデオカメラマンとして、その思うところを次に述べていきたいと思う。

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たそがれクライマー奮闘記(4) 今はクライミング界の踊り場

 ラバーソールが開発され、人間の手足の動きを最大限に活かすクライミングの形が出来て久しい。今はボルダリングジムもたくさん出来て、クライミング人口は増し、その裾野は広がっている。それはそれで喜ばしいことではあるが、私には何か不安なのである。
 私が小さい頃はボールをころがしてピンを倒すスポーツであるボーリングが流行した。誰も彼もがシューズを買い、時には自分のボールを買った。だが、今やボーリング場なんて、捜す方が難しい。流行は長い短いはあるが、いつかは廃る。今のボルダリングジムのブームもボーリングと同じようにならなければよいが・・・。
 流行は廃る原因は簡単だ。それに飽きるから。だから、飽きないように長続きするためには奥が深くなければならない。突き詰めても突き詰めても先があるような何か。或いは、そこから変化して新しいアプリケーションが創り出されて行く何か。
 今、クライミング界は踊り場に来ているような気がする。次はどちらの方向へ行くのだろうか。時代を切り開くクリエーターにはわかっているのかもしれない。私のような人間は昔の引き出しをひとつひとつ開けて、何か面白いものがないかどうかを確認していくしかないのだが・・・。

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2012年03月21日

たそがれクライマー奮闘記(3) クライミングというジャンルの横幅

 一概にクライミングと言っても、その横幅は広い。もちろん、クライミングの世界にも流行があるわけで、その時代によってクライマーが集うところが変わってきた。
 エベレストを中心に最高峰のピークに達することを求めた時代。谷川岳に代表されるようなより難しい岩壁をあらゆる手段を駆使して登った時代。ラバーソールが開発されてエイドを使わずにより高難度の岩壁を登る時代などなど。氷を登るアイスクライミングや沢登りなども含めると、クライミングの裾野は相当に広い。
 これらのどれひとつを取っても、それを極めようとすれば膨大な時間と努力とお金が必要になる。

 そして、もうひとつ言っておこう。過去になされた輝かしい栄光を2番手で達成したとしても、その輝きは小さいということだ。つまり、何か新しいことを常に求めていくのが人間の本質であるということなのだ。

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2012年03月18日

たそがれクライマー奮闘記(2) クライマーの評価

 全国津々浦々、次のような会話を耳にする。
 「あの人は、***クライマーなのよ。」
 「へー、すごいね。」
 そして、***のところは、トウェルブ、サーティーン、フォーティーン、フィフティーンと言う訳で、話のパターンとしては同じわけだ。

 つまり、一般的なクライマーの評価としては難易度の高いグレードを登った者が優秀なクライマーということになる。

 ところが、私はトウェルブを登った時点で、その先のグレードを無理に追及しないと決めたので、クライマーとしてはそれ以上に評価されることが無くなった。評価されることが無くなったクライマーのモチベーションは低くなるのも当然だった。

 グレードを追求せずに、クライミングを楽しむことは出来るのだろうか。

 グレードを追求しなくなったその時から、たそがれクライマーの道を歩みだしたと言ってよい。それはある意味で苦難の道であり、また違う意味で、新しいクライミングの楽しみ方を模索する方法を選んだということでもあった。

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2012年03月17日

たそがれクライマー奮闘記(1) 最高グレード

 最近はあまりオリジナル・クライミング・ビデオサイトの更新も芳しくないとうこともあって、ぼちぼちと自分と自分の周辺の出来事を書くのも良いかなという気になってきた。無理しない程度に少しずつ書いていこうと思う。

 さて、私の最高グレードはRPで5.12b、OSで7a+である。7a+をオンサイトしたのはタイのプラナンだったが、ビレイヤーが信用出来ず、かつ、ここで落ちたら大変なことになると必死の形相で登ったものだ。いわゆる、火事場の底力で達成したのだった、トホホ。
 とはいえ、それも随分と昔の話で、私の最高グレードはそこで止まった。というより、それ以上のグレードを追求することに興味を持てなくなった。

 もともと私がフリークライミングを真面目に始めるようになった1990年後半当時は、5.12を登るクライマーは少なかったし、あこがれの的だった。だから、私もその頃、5.12を目指し、5.12を登れるようになるためにはどのような努力も惜しまないと思っていた。毎週末には岩場へ足を運んだ。今思うと、最もクライミングが楽しい時期だった。
 しかし、どのようにすれば5.12を登れるようになるのか、わからない。当時、日本語のハウツー本などほとんど無かったので、Eric J. Horst著「How to Climb 5.12」を買って来て、会社へ通う通勤電車の中でむさぼるように読んだ。

 「Chapter 1. Yes, You Can Climb 5.12!」 このフレーズだけで心が躍ったものだ。私にも出来る。

 そして、とうとう5.12を登った時、私のグレード追求に対する興味は潮のように引いていった。

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